機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
宇宙世紀0093年。かつてジオン公国軍のエース・パイロットであり、ジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子であるシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)は幾多の戦いを経て人類に対する失望を強め、その腐敗の根源たる地球連邦政府に対しネオ・ジオンを率いて反乱の狼煙を上げた。彼は地球環境を汚染し続ける人類を粛清するため、小惑星5thルナの落下による地球寒冷化を実施する。
かつての一年戦争の英雄で元ホワイトベース艦長ブライト・ノアを中心に構成する連邦軍独立部隊ロンド・ベルは、いち早くネオ・ジオンの動向を察知し、地球寒冷化作戦を阻止すべく応戦した。シャアの最大のライバルであった連邦きってのエース・パイロット、アムロ・レイらの奮闘虚しく、5thルナはラサにある地球連邦軍総司令部に落下してしまう。
ネオ・ジオンはアデナウアー・パラヤを始めとする地球政府高官と密かに裏取引を行い、スペースコロニー・ロンデニオンにて停戦交渉に合意する。停戦に安堵する地球連邦の思惑と裏腹に、シャアは取引によって得た小惑星アクシズを地球に衝突させるべく再び作戦を開始した。そんな時、アムロとシャアは幾度目かの再会を果たし、決定的に決裂するのだった。
合意が偽りである事を察していたロンド・ベルは核ミサイルなどを準備、やがてネオ・ジオンとロンド・ベルとの間で戦端が開かれる。アムロは自ら開発に加わった新型モビルスーツν(ニュー)ガンダムを操り、ネオ・ジオンのエースを相手にしながらアクシズを目指す。一方、アクシズを内部から爆破して軌道を逸らすロンドベルの作戦は成功するかに見えたが、アクシズの一部は既に地球の引力に捉われていた。
壮絶な一騎打ちの末にシャアを下したアムロは、自分の命に代えてもアクシズ落下を阻止する決意を固める…。
作品解説
この作品の舞台は『機動戦士ガンダム』から続いてきた宇宙世紀という歴史の延長線上にあり、一年戦争があった宇宙世紀0079年から14年後、宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争[2]を描いた作品である。一連のシリーズで因縁のライバル同士であったアムロとシャアの戦いにピリオドが打たれ、劇場版『機動戦士ガンダム』シリーズの事実上の完結編とされている。
キャラクターデザインと作画監督には『機動戦士ガンダムΖΖ』に引き続いて北爪宏幸を起用している。富野は「安彦くんの参加がないのだから、お客を呼ぶにはシャアたちしかいない」と述べており、本作はシャアとアムロが中心のストーリーになった[3]。宣伝用のポスターでもシャアとアムロの対決であることが強調された。しかし一方でガンダムシリーズが新規ファンを獲得する上では、シャアとアムロを軸としたストーリーがマイナス要因となっていた。このため本作は「第一ガンダム世代の卒業式」と評された[4]。後に富野は本作について「ガンダムでおまえら(シャアとアムロ)には商売させないよっていうのが一番のテーマ」と語っている[5]。
富野によると本作に対する女性ファンの意見として「シャアはあんな人ではない」というものが多かったそうである[6]。池田秀一も「シャアって、こんなに子供だったのか?」と述べている[7]。これに関して富野は「いつまでもキャラクターの夢の部分だけを見ているのはよくない」と述べている[6]。池田秀一はシャアは富野を写す鏡であるとしており、池田によれば「シャア(富野)はもっと女々しい男なんだぞ!」と主張したかったのであるとしている[7]。樋口真嗣も「とうとう、シャアやアムロが富野さん自身になってしまった」と述べている[5]。
サンライズの内田健二によると「初めて観る人でも楽しめる作品」としているが[8]、福井晴敏は「これわかんないよ普通の人には」と述べている[5]。富野も「セリフなどが難解でストーリーがわかりにくかった」という意見があったことを認めている[6]。富野によると「わかりやすさということと自分の言いたいテーマを表すということが両立できない」のが原因だそうである。
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『機動戦士Ζガンダム』で可変機構が組み入れられ、『機動戦士ガンダムΖΖ』では巨大化・大出力化が進んできたモビルスーツであるが、本作品ではシンプルな人型の機体が中心となっている。これはテレビアニメである『Z』『ZZ』と比べて劇場作品である本作はマーチャンダイジング上での制約がなかったためだとされている。サイコミュ回路を金属粒子に封じ込めて機体のフレームに使うサイコフレームが登場し、ファンネルが、初めて主役機のνガンダムにも装備された。
メカニックデザインは、主役のνガンダムについてはΖガンダム、ΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で鈴木雅久らが中心になって数多くのラフデザインを提出し、最終的に出渕裕がまとめている[9]。ネオ・ジオン軍MSは出渕裕がデザインしている。その他、戦艦のデザインをガイナックスが担当している(ネオ・ジオン軍艦艇は庵野秀明、ロンド・ベル艦艇は増尾昭一)[10]。
スペースコロニーのサイド1・ロンデニオンとスウィートウォーターの描写などで当時としては珍しいCG技術も使われた。このうちロンデニオンの映像はのちに『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のラストカットで登場するサイド6・リボーの映像としても流用された。
自らもスタッフとして参加していた庵野は『逆襲のシャア友の会』なる同人誌を出版。この本にはゆうきまさみ、出渕裕、美樹本晴彦、北爪宏幸、幾原邦彦、鈴木敏夫、ことぶきつかさ、藤田幸久、あさりよしとお、山賀博之らが参加しており、庵野と富野、押井守らとの対談が収録されている。この中で繰り広げられた富野と庵野による衝撃発言の数々は、様々な意味で話題を呼んだ。